短編集

 20年以上前になるが、行き場をなくして行方知れずになろうとしていた。

 自分の進むべき道を、少し遠回りしていた時である。

 自由と引き換えに手にしたものは、実は不自由だったと知った時。

 それでも、自分の選択を間違いだとは思わなかった、

 なのに。

 胸の奥に、何かが詰まったようで、ちょっと息苦しさを感じていた。

 ある日、たまたま手にした新聞に、地方文学賞の応募広告を見つけた。

 その部分を切り取った。

 それが自分を変える道になる気がしたのだ。

 小説など書いた事はない。

 小説の勉強もしたことがない。

 小学生の頃は、作文は大の苦手だった。

 友達に出す手紙も、支離滅裂ばかり。

 それでも、書いてみたいと思った。

 いや、書くのだ。

 テーマもなければ、構想もない。

 ただ、頭の中に映像が浮かんでいた。

 それを文字に起こす。

 語彙力のない自分を情けなく思った。

 それでも、映画のように場面が湧いてくる。

 毎日、毎日書き続けた。

 いや、正確には、パソコンに向かっていた。

 何度も何度も書き直し。

 何が正解かわからなくなり、頭が混乱した。

 それでも、締め切りギリギリに書き上げ、消印ギリギリで発送した。

 生まれて初めて書いた小説を応募したのだ。

 もう、書き上げた事実だけで、満足だった。

 発表の日、どこからも連絡はなかった。

 そりゃそうだ。

 小説の基本も踏まえず、自己流で書いた作品だもの。

 そう思っていた。

 後日、主催者から送られてきた新聞に、受賞者と入選者、最終選考まで残ったリストが記されていた。

 そこに、私の作品名があったのだ。

 声が出た。

 驚きのあまり、声が出ていた。

 少しの自信と希望を感じた。

 あれから、地方狙いばかりだが、いくつもの短編を書いた。

 中央を狙わないのは、小心者だから。

 いまだに、賞は取れていない。

 その度に、埋もれてゆく短編がいくつも生まれている。

 ふと、思ったのだ。

 どうせ埋もれるのなら、ここに埋もれさせようではないか。

 

 こんな思い付きで、このページを作った。

 次回からは、埋もれた名作を読んでいただきたい。

 

2026. 1. 1.

 

 

 


悪戦苦闘の末のアップロードです。

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2026. 2.28.

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神様トンボ
2019年とある文学賞に応募のために執筆。
応募作品は、文字数の関係でこれよりだいぶ削ってしまい寸足らずな感じになってしまった。
ま、それが落選原因ではないが、原作の方をアップします。
神様トンボ.pdf
PDFファイル 1.9 MB
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