短い秋が駆け足で通り過ぎた。
西から風が吹き抜けて、真綿のような雪雲を運んできた。
メグスリの木も紅に染まり、季節が冬へと変わってしまった。
10月は、毎週山に登っていた。
ネットニュースでは、毎日のように滑落や遭難の記事を見る。
特に今年は、目に付いた。
明日は我が身と戒めながら、記事を読む。
礼文島からフェリーで揺られること約2時間、最北の地稚内に着いた。
結構な人が乗っていた気がするが、船を降りるとあっという間にいなくなってしまった。
ようやく全貌を見せてくれた利尻山。
昨日、あの頂上に立ったのよね〜
我ながら、頑張ったぜ。
日付が変わった頃から、眠れない。
おそらくそうなると思っていたので、それほど慌てない。
3時間は熟睡したので、体力的に問題はない。
うつらうつらしても、突然覚醒する。
利尻島は、周囲60キロの島である。
車なら小一時間で一回り出来る。
登山が終わっていれば、ドライブも良いが、天気待ちなので落ち着いて観光する気にもならない。とりあえず、宿で自転車を借りて、近所を回ってみることにした。
日本百名山を制覇しようなんて、これっぽっちも考えてはいないが、気になる山はいくつかある。
最北って言葉に弱いのだが、北海道利尻島にある利尻山もその一つ。
今年最初の登山は、グーンと南下して薩摩半島の南端に位置する「開聞岳」であーる。
旅行支援が使えるうちに、奮発しちゃいましょー。
成田空港からLCCのジェットスターでビューンと飛びま〜す。
葉を落とした林の中を、落ち葉を踏みしめながら歩くのが好きである。
さくさくと触れる木の葉。
コトリ、コトリと揺れる木々。
冬支度を終えた静かな山が、好きである。
雪が来るまでの僅かな時期の楽しみである。
秋晴れの日、待ちに待った復帰登山。
と言っても、負傷した小指ちゃんを考慮して、予定の磐梯山は見送ることにした。
安達太良山も手招きしているが、ぐっと我慢。
どうしても行かねばならぬ場所へ。