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休業35日目

草むしり

 もう、これは、趣味と言ってもいいくらい。一日中やっていられる。いやいや、まじで一日中やったら、腰が曲がってしまうけど。

 除草剤は使わない。これは、揺るぎない姿勢である。

 あの、生育途中で奪われる葉緑素が、赤茶けて命を削がれゆく光景は、痛々しく切なくやるせない。そりゃ、雑草の始末は、半端なく大変だけど、草で死ぬわけじゃないのに。と思う。ちょっとでも雑草が茂ると、農家の人は、土地を荒らして怠けていると思われるのが嫌みたいである。除草剤のほうが、手と金をかけているよ。と、アピールできるのだ。

 草との戦いは、冬まで続く。春の芽吹きの時は、どんな草でもちょっと嬉しいのだが、雨が降るたびに、それは宿敵になってゆく。何しろ、ぐんぐん伸びるのだ。地中の栄養をばんばん吸い取り、わさわさと生茂る。そうなったら手作業ではお手上げになる。刈払い機の登場である。が、平らな場所ならいいが、凸凹していると虎狩りになる。私は、丸鋸やチェーンソーは使うが、この刈り払い機は、まだデビューしていない。

 草は、刈るのではなく、基本手でむしるのだ。

 そのためには、梅雨入り前にある程度やっつけてしまわないと、もう、太刀打ちできなくなる。

 ここに移ってきて18年である。荒地の開墾から始まった畑は、いまだに、ボヤボヤすると荒地に戻る。今、この時期にむしり取る。勝負なのだ。

 駐車場からの道脇は、何とか形がついた。庭もだいぶ整理されてきた。残るは、去年サボり続けて、草原と化した畑を蘇らせる事。これが手強い。乾燥続きで、根っこがしがみついているから、すっきりむしれない。どうしても根が残るし、途中で切れてしまう。すると、翌日には、また伸びている。雨が少ないこの時期、どこから水分と栄養取ってんじゃー。と思うほど、草たちは元気である。

 毎日が定休日な今だからこそ、集中して草むしりに精を出す。でも、追いつかない。

 そりゃ、営業してたら、出来る訳ないわ。と、今更ながら、気が付いてみる。

 

 田んぼに水が入り、田植えが始まっている。カエルの合唱が賑やかである。

 さて、明日は、午後から雨の予報である。作物には、恵の雨になるが、草たちもまた同じである。

 うおぉぉお、負けないぞぉ。