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休業38日目

花盛り

 まとまった雨が降らない。

 この時期はいつもそうだが、からっからに乾いている。なのに、木々の緑はぐんぐん濃くなる。冬の間温存していたエネルギーを使っているのだろうか。確かに、葉を落とした後の木々は、静かに静かに眠りつつ、木の芽をしっかりと温め続けている。だから新芽は、赤く膨らむのだなぁ。

 ワイルドストロベリーが花盛りである。小石だらけの痩せた土でも、しっかりと根付き、雨が少なくても緑の葉を大きく開き、真白な花がぽつりぽつり咲いている。ここまで形になるまで2年かかった。現在進行形の土手庭イチゴ化計画も、最低2年はかかるって事だ。その間、面倒がらずに雑草抜きをすると、2年後には、庭イチゴのグランドカバーが完成する。

 自然相手の仕事は、結果が出るまでには、ワンシーズンでは難しい。土地に合って、しっかり根付けば、あとは、少ない手間で管理ができる。どこかで見たガーデンをイメージしても、相性が良いとは限らない。人間も同じだね。

 

 震災前だが、バターが買えない時期があった。牛乳の消費が減り、政府が搾乳調整をしたためだった。牛乳用で出荷するより、加工用に出荷する方が、安価だったため、酪農家は少しでも高値で売れる牛乳用の出荷を選んだ。そのためバターの元になる加工用が激減したのだ。直ぐに、バター不足が問題になり、緩やかにだが回復した。そしたら、今度は、震災で、買えなくなった。そして、じわじわと値が上がっていった。いつの間にか200g入りが、150gになってしまい、大幅値上げとなった。チーズもそうだった。

 バターが手に入らないとケーキ作りにも影響が出る。最初のバター不足の時は、必死になって探し回った。ネットで時間販売するのを数分前から待ち構え、開始同時に購入ボタンを連打した。同じ様に狙った人たちで瞬時に売り切れるのだ。少しくらい高くても、送料が高くついても、必死で買い漁った。それでも一度に買えるのは業務用の一箱だった。バターの使用量を減らす努力もした、しかし、バターの旨さに勝てる油分はない。何よりも私の舌が納得しなかった。

 その時考えた。

 こんなに苦労して買う意味はあるのだろうか。当たり前に買える前提があったから、バターたっぷりのお菓子を作っていたが、こんなにも苦労してまで作る意味はあるのだろうかと。無いなら無いなりに、別な道を考えた方がいいのではないかと。

 ただ、そんなことを考えていると、次第に手に入る様になる。以前と同じ様にはいかないが、全く買えないということはなくなったのだ。

 この騒動が始まるまでは。

 また、バターが買えなくなった。今度は、小麦粉まで買えないのだ。

 休業前の仕入れ品があったので、つい先日まで気が付かなかった。たまたま、小麦粉を切らしたので、近所のスーパーへ買いに行ったのだ。そしたら、粉類の棚から、小麦粉が消えていた。

 何で!?

 家に帰り、ネットで調べてみると、以前のトイレットペーパーの様に、買い占める人たちがいると知った。

 普通の家庭で、どれほどの人が小麦粉をふんだんに使うのだろう。家にいることは多いだろうし、お菓子やパンを作る機会も増えるかもしれない。にしても、棚からなくなるほどなのか!?まぁ、人の心理って、なくなるかもと噂が立ったら、あるだけ買い占めちゃうもんなぁ。うわさの真相が正しいかどうかは、全く関係ない。煽られた不安だけが支配する。

 まぁ、仕方ない。そのうち落ち着くだろう。

 慌てて買い占めた人たち〜、ちゃんと使い切って、食べ切ってね。これからの季節、粉類は、管理が悪いとダニにやられるよ〜。ダニさんは、加熱してもアレルギー症状を起こす場合があるよ〜。気を付けてね、買い占めた人たち〜。

 

 まてよ、買い占める人たちは、このブログ読むはずないか。

 あはは〜