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それでも

 寒かろうが、コロナ蔓延だろうが、植物は、次の季節へ移ろってゆく。

 昨年植え替えた水仙が、顔を出し始めた。

 思いつきで植え替えたので、どこへ植えたかすっかり記憶が消えている。

 植えるときは、咲き誇る姿を想像していたはずなのだが。

 姿が見えないと、さっさと忘れてしまう。

 さて、あちこち植え替えた球根たちは、どこで花開くのかなぁ。

 楽しみだ。

 

 三春に移転してから、最初の年だけ元旦を休業したが、それ以降は、ずっと年末年始も営業していた。帰省した方や休暇になった方、休みを持て余している方々が、休まず営業を楽しみにしてくれた。私も、営業していた方が、それを理由に正月の挨拶に行かなくていいので、煩わしさが軽減された。

 私は、イベントごとがあまり好きではない。クリスマスも正月も、いつもと変わりなく過ごしたい。節目だったり、ケジメだったりするのは分かるが、どうも、本来の意味合いから遠のき、何となく祝っている感が、馴染めないのだ。私にとっては、特別な日としての意味合いは全くない。なので、休まず営業の方が都合がよかった。

 実家に帰りたくない。

 これが本心だった。

 今は、もう、帰る場所がないのでそんな心配をしなくていい。

 母の入所する施設も、面会できない状態なので、これ幸いと内心思っている。

 正月用の食料は、クロネコに運んでもらった。

 それで我慢してもらう。

 我慢、なんだろうなぁ。

 我慢してるって、思ってるんだろうなぁ。

 しかし、クールな娘は、それ以上のアクションは起こさない。

 元旦の挨拶電話さえしない、優しくない娘さ。

 

 親子って。

 血の繋がりだけで、がんじがらめに縛られる。

 この胸に湧き上がる感情をどうしたら昇華出来るかが。

 今年の目標である。

 

 

凍てついたバラ

 

大した手入れもしないのに

忘れた頃に

ぽつりと咲く花

木々の葉が落ちた冬だから

梢にまで陽が届く

固く閉ざした蕾にも

冬の光は降り注ぐ

春を待たずに花開く

凍てついた花びらが紅に揺れ

ただひたむきに

咲き続ける