冬の終わりに、南三陸へ行った。
静かな海の夜明けである。
南三陸さんさん商店街で、海の幸をたんまり買い込んできた。
ホタテと金華鯖そしてワカメ、安いのに絶品だった。
海産物はもちろん、農産物、洋菓子、和菓子、コーヒーショップ何でもあった。
キラキラ丼という、ウニとイクラの海鮮丼が名物らしいが、そのどちらも苦手なのでスルーした。
途中の塩竈でお寿司を食べようと思ったが、予定していた回転寿司が長蛇の列。
駅の中にあった魚屋の奥に食堂があり、そこで穴子丼を食べた。
魚屋は賑わっていたが、食堂は、閑散としており、あまり期待をしなかった。
ところがこれが美味しかったのだ。米もふっくら炊き上がっており、どっかり乗った穴子にちょっと感動した。
塩竈は、高級寿司店が多いが、エキナカは、穴場だった。
長蛇の回転寿司も気になるが、それは、またいつか。
何しろ、私は、並ぶのを好まない。
待つのが嫌いなのだ。
海岸線を走りつつ、小さな港に立ち寄ってみた。
穏やかな海は、青く。
陽の光が眩い。
梅がようやくほころび始めた頃だった。
このまま北上して行きたい。が。
さんさん商店街で買ったホタテと金華鯖があるので、やっぱり帰ろう。
南三陸、小さな旅であった。
季節は、ずんずん移ってゆく。
副業があるので、仕事をしていない訳ではないが、店を開けていた頃からすると、拘束される時間は僅かである。
それで、収入が劇的に少なくなった訳でもない。
カフェとしての収益は、実に情けないほどであったと思い知っている。
雇われるのが苦手な私には、自分で店を営む道が最善だと思っていた。震災の時も、父の介護と看取りの時も、ひと月も休まずに再開していた。
今回ばかりは、どうにも踏ん切りがつかない。
天秤の片寄を修正する重しがないのだ。
来年の5月で、店の営業許可が切れる。
それまでに、営業再開が出来れば更新するが、見込めない場合は、廃業という選択も視野にある。
タイムリミットは、あと一年である。
少し、休みすぎたかもしれない。