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レモン味

 朝晩の冷え込みは、真冬を感じさせますが、風のない穏やかな昼下がりは、陽の光が暖かです。

 体調も良く、食事も、ほとんど普通に戻りました。

 ただ、大事をとって、まだお酒は飲んでいません。

 規制はされていませんが、まだ、飲みたい気持ちにならないので、さまざまな炭酸飲料を楽しんでいます。

 入院中、私を救ってくれたのが、レモン味の炭酸飲料でした。

 吐き気で苦しかった時、唯一口に出来たのが、病棟の自動販売機で売っていたレモン味の炭酸飲料でした。

 吐き気で酸っぱいもの!?って、まるでつわりみたいです。

 起きても、寝ても、どこを向いても気持ち悪るく、薬も効かず、入院中で一番苦しかった時でした。

 術後の経過が悪いわけでもなく、吐き気の原因は、麻酔の後遺症でした。

 麻酔薬が完全に体内から抜けるまでは、4〜5日かかると言われました。

 それを、ただ、ただ、待つしか治療法がないのです。

 食べ物は全く受け付けず、薬を飲む水さえやっとでした。

 それなのに、なぜか、レモン味を欲したのです。

 ドクターは、飲めるなら、なんでも飲んでいいよ。と言ってくれました。

 ならばと、よたよたと自販機まで行って、緑のボトルに入ったレモン味の炭酸飲料を買ったのです。

 予想以上に酸っぱい味が、ジワジワと沁み渡りました。

 うううぅ、美味しいぃ。

 吐き気が少し楽になった気がしました。

 それからは、そのレモン味の炭酸飲料が、私の特効薬になりました。

 丸一日かけて、チビチビと飲んで吐き気を紛らわせたのです。

 そのうち、麻酔の影響も治り、食事も取れるようになりました。

 そして程なくして、退院できるまで回復したのです。

 その後、色んな味の炭酸飲料を飲んでみましたが、やはり、あの味に落ち着くのです。

 吐き気のない今は、あの時ほど欲することはありませんが、お守りみたいに常備しています。

 レモン味から、ビールになるのは、もうぼちぼちかなぁ〜