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5年間

 退院してからは、3ヶ月ごとの経過観察診察がある。

 血液検査と半年ごとのCT、一年ごとの内視鏡検査が5年間続くのだ。

 病巣はキレイに取れたが、再発と転移の可能性は否定できない。

 5年何もなければ、初めて完治に至るわけである。

 定期的に診察されることで、ある程度の病気が早期発見される。

 人間の体は、自己治癒力があるから、あまりに早く見つけられるのも、どうなのか?

 と思う部分もあるが、これがガンの基本的治療経過である。

 私の場合、抗がん剤治療は受けないことにした。

 大腸がんの場合、再発のリスクはかなり低い。

 転移の場合は、転移性のガンだと考えられるので、ジタバタしても仕方ない。

 抗がん剤で受けるダメージとリスクより、今の生活を考えた結果である。

 ステージは2だったが、浸潤が深かったので、抗がん剤の適用範囲ではある。

 しかし、抗がん剤治療を受けて苦しみ、旅立ってしまった友を見ている。

 効果も絶大ではない。

 もしかすると、自分には、ものすごく効くかもしれない。

 だが、比べることは、不可能である。

 だったら、受けない選択もまた、一つの可能性だと思う。

 幸い、イケメン担当医は、すんなり理解してくれた。

 再発したら、その時考えましょう。

 そう、その通り。それでいいのだ。

 ああ、この担当医でよかった〜

 そう思った。

 ところが、どっこい。

 その三ヶ月後、イケメン担当医は、移動で病院を離れることになった。

 ま、医者が変わっても、やる事は同じだからね。

 で、今度は、美しき女医さんになった。

 テキパキとしているし、話もちゃんと聞いてくれる。

 半年目のCTと血液検査の結果は、再発も転移もなかった。

 と、思いきや。

 胆石が見つかり、あわや、再び手術か!?

 流石に、それは勘弁して欲しいので、当面は、投薬で様子を見ることになった。

 痛みが出れば、切ることになるんだけどね。

 とほほ。

 胃もたれは、食い過ぎじゃなかったらしい。

 薬で胆石を溶かすのには、半年から一年かかる。

 しかも、絶対消える保証はない。

 ただ、痛みさえ出なければ、大きな問題には成らない。

 40歳以上の10人に一人は、胆石持ちなんだってさ。

 悪ささえしなければ、共存できる石ころです。

 薬のおかげか、胃もたれはあまり感じなくなった。

 ははは。

 あれは、やっぱり食い過ぎだったのかも。

 

 さて、これまで綴ってきた闘病記録もこれにて終了。

 お付き合いくださった皆様。

 ご心配おかけしました。

 私は、すっかり元気です。

 ぼちぼち、登山も再開する予定であ〜る。