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海水浴

 何となく、海の方が涼しいような気がして。

 磐越道に並行して走る道で、いわき方面へ向かった。

 林間部は30℃を下回ったが、青空の下は、グングン気温が上昇。

 ま、どこへ行っても暑いよね。

 とりあえず、塩屋崎灯台を目指した。

 ちょうど駐車スペースがあったので、車を入れて海岸へ降りた。

 砂浜に照りつける太陽は、容赦ない。

 海の家が一軒あり、海水浴客がちゃんといた。

 薄磯海水浴場

 ああ、ここがそうなんだ。

 波打ち際まで焼けた砂を歩く。

 サンダルの中に砂がキュッキュと入ってくる。

 あ、夏の感触だ。

 乾いた砂に波が来る。

 思いのほか冷たい。

 こんな暑い中でも、水の中はひんやりするんだ。

 だから、海水浴するのか。

 3度目の波が来たとき、水飛沫が上がった。

 半ズボン、びしょ濡れ。

 でも、楽しいや。

 泳ぐ勇気はなかったけれど、足だけ海水浴してきた。

 サンダルの砂、まだ少し残ってる。

 

 古い写真の中に、ツインテールにストライプの水着を着て笑っている私がいる。

 まだ白黒写真だった頃。

 4歳の私。

 家族で海水浴へ行った。

 この日の記憶は、しっかりと私の中に刻まれている。

 旅行が嫌いな父は、仕事があるからと、泊まらずに帰ってしまった。

 残された私たちは、海水浴を楽しんだ。

 私は、波が怖くて、波打ち際でチャプチャプしただけだった。

 汽車を乗り継いで行ったので、久之浜だった気がする。

 後にも先にも、家族全員で行った旅行は、あれだけだったなぁ。

 旅行嫌いの父は、泊まりで出かけることは皆無だった。

 ついでに、写真も嫌いだったので、家族写真もない。

 その分、記憶の思い出箱に仕舞ってある。

 

 海から帰ったら、積乱雲が立ち込めて夕立が来た。

 すっかり涼しくなった。

 ここは、もう、熱帯夜はない。

 秋の虫が鳴いている。