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クジラ

 3日目の朝。

 ホテルの朝食バイキングは、ものすごい種類の料理が並んでいた。

 全部制覇しようなんて、絶対無理、無理ぃ。

 だが、プレートの上は、おびただしい種類の料理で満載。

 ああ、食った食ったぁ。

 ちょっと運動せねば。

 さぁ、残波岬へ行くよ〜

 灯台は、まだ開いていない。

 岬周辺を歩き回る。

 灯台を少し離れると、観光客はほとんどいない。

 海をぼんやり眺めていると、ものすごい音が響いた。

 え、クジラ!!

 慌ててカメラを向けたけど、尻尾しか撮れなかった。

 いるんだねぇ。

 その存在に気づいた人たちは、海にスマホを向けている。

 クジラは、そんなのお構いなしに、バッサーンと海をヒレで叩いている。

 うん?魚じゃないからヒレじゃないのかな。

 まぁいい。

 クジラなんて、滅多に見られない。

 

 この旅四つ目のグスクは、座喜味城である。

 勘違いして、裏門の方から入ってしまい、城の名前が刻まれた石柱を見損なってしまった。

 周辺が広く公園になっており、地元の人がわんこの散歩をしている。

 ここは、なんと無料なのである。

 これまでのグスクより、こじんまりしているが、高台に建ち海が望めるのは、同じである。

 ただ、3日で4つのグスクを見ているので、ちょっと混乱してくる。

 しかも、裏から入ったので資料館をスルーしてしまい、ちょっと不完全燃焼だった。

 

 ここの曲線は、特に美しかった。

 城壁の上にも登れるのだが、そこではたと気がついた。

 表側の石積みと裏側の石積みの間に、小石が埋め尽くされている。

 だから、城壁が分厚いのである。

 

 まるで道のようだが、これが城壁の上部なのだ。

 石を積むだけでも、ものすごい労働だったろうに、間に小石を埋め込むって・・・

 どんだけの人たちが、どれほどの労働をしたのだろう。

 後で調べたのだが、このような石積みは、琉球独特らしい。

 小石を埋め込むことで、強靭になる。

 これが土だと、水捌けが悪くなる。

 なるほどね。

 思いつきで、グスク巡りしているけど。

 城壁、かっこいい!!ってだけで、ここまで来たけど。

 薄っぺらだった自分をちょっと反省。 

 今回見たグスクは、先の戦争で多くを破壊されていた。

 復帰後に長い年月をかけて発掘調査し、復元したということだ。

 首里城以外は、あえて、城壁だけを復元している。

 それがね。

 すごく、いいのよ。

 時空を超えて、当時の風に吹かれているような気になるの。

 ま、当時の民だったら、城内には、そうそう入れないけどね。

 

 これで、グスク巡りはおしまい。

 次は、奥深く、潜るよ。

 海じゃないよ。