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振り回される日々

 首が痛くて動けない。

 頭も痛い。

 悲痛な声で、母から電話が来た。

 一瞬、脳梗塞か、心筋梗塞の前触れか!?

 と思ったが、施設のバスで病院へ行ってくるという。

 なんだ、自分で歩けるのか。

 全く大袈裟である。

 翌日、ちっとも良くならない、何も食べれらない。とまた電話。

 しかも、室内設置のカメラの調子が悪く、映像が送られてこない。

 どうも、コンセントが外れているみたいだ。

 これじゃ、何事かあってもチェックできない。

 母にコンセントを見てくれと頼んだが、どれか分からないという。

 仕方ない。

 行くか。

 お寿司食べる?と好物を提案したら。

 それなら、食べられる。と。

 おい、おい、その程度の痛いかよ。

 と、思いつつも、施設のある土湯温泉町まで出かけた。

 顔色はいいとは言えないが、緊急性はないと判断した。

 買って行ったお寿司とアイスで元気が出たようだ。

 肩を触ると、パンパンに張っていた。

 少し触れただけで、痛いと騒ぐ。

 そりゃ、こんなに張ってたら、頭まで痛いわ。

 原因は、ベットに横になったままテレビを長時間見ているために、固まっているのだ。

 優しく流すようにマッサージをして、湿布を貼った。

 何しろ、これだけ張っているのに、湿布もしていない。

 こめかみにサロンパスを貼った、漫画に出てくるババア状態。

 なかなかシュールでちょっと笑えた。

 医者から、頭痛薬も処方されたので、少し楽になるだろう。

 と思って、施設は、後にした。

 しかし、頭痛が治まってきたら、首が痛いと言い出した。

 ちっともよくならないと、泣き言を言う。

 整形外科へ行きたいと。

 はいはい、連れてけばいいんでしょ。

 施設から紹介された整形へ連れて行くことに。

 またまた、福島までドライブ〜

 初診だから、2時間待ちは覚悟だなぁ。

 って、私が整形の診察受けたいよ。

 一月前くらいから、右手首に激痛が走る。

 寝返りするだけでも、痛さで目が覚めるほど。

 腱鞘炎に違いないが、病院へ行ったところで湿布出されるだけ。

 と思って、放置してた。

 いや、湿布はしてたよ、夜間だけ。

 まぁいい。

 ネットの評判は、最悪な病院だったが。

 受付もレントゲンもすごく親切。

 ドクターも的確に、テキパキしてる。

 ま、それがキツいって思う人もいるかも。

 ネットの評価は、当てにならない。

 首の椎間板が変形してるから、痛みを感じる場所に引っ掛かるんだね。

 筋肉張ってるしね。

 注射する?

 母は、それ待ってました。とばかりに、お願いします。って。

 注射して、筋肉ほぐす薬と痛み止めもらって、お昼ちょい過ぎに、施設へ帰れた。

 はー。

 安心したのか、昼ご飯をモリモリ食べてる。

 え〜と、食欲無いって騒いだの、誰でしたっけ?

 ま、これで落ち着くでしょ。

 数日後。

 通常の投薬通院でまたまた付き添い。

 ことの次第を説明するために、診察にも同行。

 主治医に一連の説明をすると。

 怒ったように、首が痛いなんて聞いてないよ。

 と。

 え。

 どうりで。

 最初に痛いといって通院した時は、なぜか膀胱炎の薬が処方されていた。

 2度目に行った時は、頭痛薬。

 首の凝りや痛みに関する処置は、全くされていないのが気になっていたのだが。

 つまり、母は、何も言っていなかったのだ。

 ああ。

 そりゃ、良くならんわ。

 自分で説明、何にもできなかったのね。

 それもあるが。

 毎回、言うことが違う高齢者の話をまともに聞いてられないよね、せんせ。

 むずい。

 いや、それじゃいかんのだろうけど。

 自力で歩くのがやっとで、言うことが支離滅裂で、病気を治す気が全くないモノたちじゃ。

 日々の変化を見つけるのは、無理。

 薬を飲めば治る。

 そんなうまい話はないよ。

 ね。

 医者として、虚しくなるだろうなぁ。

 私だって、虚しいもん。

 ま、そんなこんなでも落ち着きを取り戻したバァさん。

 お気に入りの蕎麦屋へ連れて行くと、天ぷらそばをモリモリ食べ。

 お決まりのお寿司を買ってあげたら、たいそうご満悦。

 1週間分の食料も買い込んで施設へ送り届けた。

 通常と違う症状で通院の場合は、付き添いしないとダメでだろうなぁ。

 ああ、これがまだまだ続く。

 うう。

 気がつけば、私の腱鞘炎は、一段と酷くなり。

 夜間だけ貼っていた湿布が合わず、まっかに腫れ上がった。

 腱鞘炎が腫れているのか、湿布かぶれが腫れているのか。

 あ、両方か。

 流石に、決意をして整形外科へ行った。

 選んだ病院のドクターは、ものすごく穏やかに。

 動かさないしかないよ。

 でもね、劇的に良くなる注射があるよ。やる?

 ・・・やります。

 ちくん。

 かぶれの薬も出しておきますね。

 真っ赤に腫れ上がった手首は、徐々に腫れがひき、赤みが収まってきた。

 すげー。

 もっと早く来れば良かったぁ。

 ステロイドの威力、恐るべし。

 あ、何度も出来ないけどね。

 今後は、ぶり返さないようにちゃんと治そうっと。

 早速、固定用のサポーターゲットしましたとさ。