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通院

 あれから、3ヶ月に一度の通院が定例になった。

 半年に一度は、CTを撮られ。

 2年に一度は、内視鏡検査がある。

 毎回、長い待ち時間があるが、それほど苦にならない。

 診察は、数分で終了。

 毎回、特に問題はない。

 血液検査のデータは、毎回もらえるので、それを比べてみると面白い。

 前々回だったかな、肝機能が低下しているデータが出た。

 数日前、ひどい喉風邪をひいて、消炎剤と痛み止めを飲んでいたのだ。

 その旨を告げると、そのせいだと言われた。

 胆石の薬や整腸剤では、全く変化がなかったので、ちょっと驚いた。

 たった3日間の痛み止めなのに。

 確かに、痛み止めは、強い薬だって聞くもんね。

 一方が良くなれば、一方が悪くなる。

 特に、即効性の薬って、リスクあるんだね。

 

 主治医は、毎年変わる。

 経過観察だけの患者は、毎年移動するドクターが担当になるらしい。

 ドクターが変わる事でいい事もある。

 術後のCTで胆石が発見され、その時の担当医が投薬を勧めてきた。

 その後、胆石は、小さくもならず、大きくもならず、悪さもしない。

 飲んでいても、効いているのやら?

 と、少々考えていた。

 今回のドクターに変わってから、もうやめてもいいと言われた。

 その後少しの間、整腸剤を飲んでいたが、それもやめた。

 退院してから、3年半。

 とうとう、薬のない生活になった。

 そしたら。

 ある変化があった。

 実は、ゲップが酷かったのだが、それがピタリと治った。

 以前別なドクターに、ゲップがひどいと訴えたが、それは病気じゃないと言われた。

 もともと、空気を飲み込みやすいタチではあったのだが、そのゲップぶりは、凄まじかった。

 常に炭酸を飲んで、放出しているくらいである。

 それが、すっかり治ったのだ。

 あれは、胆石の薬の影響だったのかもしれない。

 と、今は思う。

 

 話は変わるが。

 90歳になる母は、高血圧やら、血液サラサラやら、骨密度やらと、ものすごい数の薬を飲んでいる。

 すでに自分で管理はできないので、毎週看護師がやってきて、1週間分の薬をセットしてくれる。

 その他にも、頭が痛いと言っては頭痛薬。

 眠れないと、睡眠導入剤。

 そんな生活を何十年も続けいている。

 そんな母の悩みは、夜間頻尿だった。

 夜中、トイレに3〜4回起きるのが、苦痛だと訴えていた。

 だが、高齢者の夜間頻尿は、珍しいことではない。

 その対処薬も処方されているのだが、定期的に膀胱炎のような症状も出ていた。

 歳だから、仕方ない。

 そう思っていたのだが、あまりに強く訴えてくるので、泌尿器科へ連れて行くことにした。

 その医師は、とても温厚な方で、優しく母に接してくれた。

 それだけでも、母には、薬になったようだ。

 医師曰く、高血圧や血液をサラサラにする薬は、血管の水分を多くする作用があるそうだ。

 すると、どうしてもトイレが近くなる。

 薬をやめるわけにはいかないので、どのタイミングでトイレに行くかをコントロールするしかない。

 母の悩みは、夜間頻尿なので、昼間に多くの水分を排泄することで、夜間の回数を減らす方向になった。

 つまり、昼間に利尿剤を使って、水分を出してしまおう作戦である。

 薬を持って、薬を制す。

 投薬から2ヶ月、母の夜間頻尿は落ち着いてきた。

 そうすれば、精神も落ち着くかなぁ。

 との期待は、しないでおこう。

 

 何を優先すべきかを見誤ると、生涯その弊害で苦しむのかもしれない。

 しかし、優先すべきを理解できる年寄りが、どれだけいるだろうか。

 医者の世話にならずに長生きしている人は、ごく僅かだろう。

 生きる力とは、老いを病とはしない事で初めて見えるのかもしれない。

 ま、如何様に生きても、終わりは必ずくるけどね。

 ご近所の大池は、今年もハスの花が見事でございます。