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夏の花

長い間、この花を育てたいと思っていた。
直径2センチほどの青い花。
磐梯熱海から母成グリーンラインを通る時、石筵という集落を通る。
その道端に無造作に咲いているのを見つけた時。
胸が高鳴った。
たかが小さな花に、大袈裟だが。
ずっと、ずっと見たいと思っていた花だった。
こんな所に、いたのか、君は。
およそ10メートル位の間に、雑草のごとく咲く花。
車を停めて、じっくり見たい。
でも、不審者と思われる。
あああ、どうしよう。
そうだ、秋になったら種をもらいに来よう。
うん、そうしよう。
案外小心者である。
近所の人に声をかければいいものを。
何故かそれが出来ずに、通り過ぎた。
そして、数ヶ月後。
その花は、根元からすっかり刈り取られていた。
あああ、雑草扱い…なのね。
それでも、種がついていると思われる茎を拾ってきた。
しかし、その種らしきモノを蒔いても、一向に芽を出さなかった。
種は、すでに落ちてしまったのかもしれない。
あれから、2年。
今年、コスモスの間からすっくと伸びている見慣れない草があった。
あ、あああああああぁ。
咲いている。
咲いているじゃん。
キクニガナ
またの名をチコリと言う。
ちゃんと芽を出していたのね。
もしかして。
そう、私はこの花の芽を。
雑草だと思い。
ばかすか抜いていた。
だって、芽が出た姿は、タンポポにそっくり。
そりゃ、親戚だからね。
あちゃ。
たまたま、コスモスにまみれて、気が付かなかったんだわ。
たった一本だけど次々花を咲かせて、種がバンバン出来ているはず。
よっしゃ。
次の夏は、もっと増やすぞぉ。

 

夏の花は、青いなぁ。