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秋の日

 毎夏、思う様な庭仕事が出来ずに、草と戦うだけだった。

 猛暑では、長時間の外仕事は厳しい。

 曇りの日を狙って作業しても、全身汗だく。

 せめて、種がこぼれる前に、やってしまわないと。

 また、来年同じ事を繰り返す。

 う〜ん、進歩がないなぁ。

 と、うだうだ考えている内に、草の種が散り始める。

 山登りにも行きたいけど、世を賑わせている熊さんを考えると、単独では行きにくい。

 なんか、タイミングがね。

 ともかく、庭仕事をやり続けた10月だった。

 おかげで、少しは、思うように草の始末ができた。

 

 う〜ん、ちょっと歩きたいなぁ。

 という事で。

 とりあえず、三春の里まで行ってみた。

 ダム資料館の展望台まで抜ける遊歩道を歩くことにしよう。

 夏に一度歩いたのだが、眺めが良くて、道も整備されている。

 だが、ここを歩く人は、まずいない。

 アウトドアショップのmont-bell裏手から、散策コースになっているのだが。

 入り口がちょっと分かりにくいのと、木々が生い茂っているので、薄暗い。

 初心者は、ちょっと躊躇うかも。

 陰気くさいのは、最初の50メートル程度だが。

 ま、ワクワクするアプローチではない。

 そこを私は、駆け上がる。

 林を抜けると、開けた尾根沿いを歩く道になる。

 早足で歩くと、あっという間に展望台まで着いてしまった。

 向かい側に見える公園まで行ってみるか。

 ダムの上に架かる橋からダム湖を見下ろすが、澄んだ水とは言い難い。

 ・・・飲料水なんだよねぇ。

 展望台から見えた公園の駐車場には、数台車が止まっていたが、公園内を散策する人はいない。

 公園のゆるい坂道を、スタコラさっさと駆け上がる。

 誰も利用していない公園でも、草刈りがちゃんとされている。

 暖かな日だったので、シマヘビくんと遭遇。

 公園内を登ったり降りたりしたが、誰とも会わない。

 このまま帰るのもなぁ。

 よし、春田大橋まで行こう。

 今度は、車道をグングン歩く。

 時々小走りになりながら。

 歩行者などまずいない道を、グングン歩く。

 

 なんとなく気配を感じて横道を見ると、クロニャンコ。

 逃げもせず、近づきもせず。

 数分間見つめ合ったが、触らせてはくれなかった。

 まだまだ歩くよ。

 

 土手に咲き乱れるセイタカアワダチソウ。

 こうして見ると、いい感じよね。

 厄介者扱いされている草だが、実は、ちゃんと効能のあるハーブなのである。

 開花前の蕾を干すと、お肌しっとり入浴剤になる。

 刈り取った草は、積んでおけば肥料になる。

 らしい。

 

 さぁ、春田大橋だ。

 ちょうど真ん中に、三春駒三兄弟。

 ずいぶん歩いた。

 庭仕事は、屈んだままなので汗だくでも、全身を使う訳じゃない。

 こうして歩いていると、細胞に酸素が送り込まれているのを実感する。

 気がする。

 なので、とても気分が良い。

 ずいぶんな距離を歩いているが、まだスキップ出来そうだ。

 しないけど。

 想像してみ。 

 白髪のおばさんが、春田大橋をスキップ。

 通報レベルのヤバさよ。

 

 かれこれ二時間近く歩いた。

 こうして写真にすると、なかなか美しい光景だなぁ。

 ダム湖と別れて、もうすぐゴール。

 お。

 リンゴの幟がはためいている。

 看板に「紅玉」の文字。

 おお、買って帰ろう。

 千円だけ持ってて良かった。

 スッパイですと言われたリンゴは、本当に酸っぱくて、自分好み。

 リンゴのお菓子作ろうっと。

 ウキウキしながら、リンゴ抱えて二時間の散歩を終えた。

 

 あ〜あ、久しぶりに心地よい疲れだ。

 近所を歩くのだけでも、こんなにリフレッシュ出来るもんだわ。

 ちなみに、11キロ歩きましたとさ。

 山にも、行きたいなぁ。