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準備

 少し前、母の施設から電話が来た。

 朝食に来ず、食事を部屋に運んだが、あまり食べなかったそうである。

 心当たりがあった。

 前日の夕食時、同じテーブルの人の食べ方が気になって、食欲がなくなったとボヤいてた。

 嚥下がうまく出来ず、吐き出してしまったのを見て、不愉快になったらしい。

 ま、そりゃ気分が悪いだろうが、明日は我が身だよ。

 と、たしなめたが、相当嫌だったのだろう。

 翌朝の朝食をボイコットしたのだ。

 その旨を施設長に話し、おやつがいっぱいあるので、一食抜いても問題ありません。

 そう笑って伝えた。

 施設も大変である。

 たった一食のボイコットで、「すみません」を連発しながら報告するのだ。

 今のご時世、どこでクレームが付くかわかったモンじゃないもんね。

 介護の仕事って、大変である。

 ま、介護に限らずだけど。

 しかし、朝の電話は、ドキッとしてしまう。

 何事があってもおかしくない年齢だから、常に覚悟はしているけれど。

 まだ、準備は整っていない。

 で、あれやこれをちゃんと調べて、整えておこうと資料請求を始めた。

 そ、最期を迎えた後の、諸々である。

 父の時は、口から食べられなくなったのを機に、事前予約をしておいた。

 なので、危篤の知らせが来ても慌てることがなかった。

 母の場合は、特に悪いところもないので、朝起きてこなかったパターンだと考える。

 それは、明日かも知れないし、3年後かもしれない。

 病気と違って予想できない分、ぼちぼち準備をしたほうがいい。

 母は、離婚した後に自分の墓を用意している。

 実家の墓所に、ちゃっかり自分の墓石を建てたのだ。

 なので、納骨することには問題がないのだが。

 その墓所は、寺が管理しているのではなく、地域墓と呼ばれる野中にあるのだ。

 墓はあるけど、寺の檀家にはなっていないし、どの宗派なのかも不明である。

 そこを、ちゃんと調べなきゃならん。

 めんど。

 母の実家は、離散しているので、さらにめんど。

 だったら、いっそ、共同墓地にでも入れるか。

 などと、まだ元気な母の最期をあれこれ考えている、この頃である。

 

 あ〜あ、自分だったら、直葬で良いんだけどね。

 所詮、タンパク質がカルシウムになるだけさ。