今年の四月末、速達郵便が届いた。
差出人に心当たりはない。
新手の詐欺かと思いつつ、封を開けると。
一冊の冊子と執筆依頼の手紙が入っていた。
土湯峠の道の駅でコシヒカリの種籾がセットになった一枚のチラシを見つけた。
バケツでお米を育ててみませんか?
なぬ。
稲作りだと!!
何となく、海の方が涼しいような気がして。
磐越道に並行して走る道で、いわき方面へ向かった。
礼文島からフェリーで揺られること約2時間、最北の地稚内に着いた。
結構な人が乗っていた気がするが、船を降りるとあっという間にいなくなってしまった。
ようやく全貌を見せてくれた利尻山。
昨日、あの頂上に立ったのよね〜
我ながら、頑張ったぜ。
日付が変わった頃から、眠れない。
おそらくそうなると思っていたので、それほど慌てない。
3時間は熟睡したので、体力的に問題はない。
うつらうつらしても、突然覚醒する。
利尻島は、周囲60キロの島である。
車なら小一時間で一回り出来る。
登山が終わっていれば、ドライブも良いが、天気待ちなので落ち着いて観光する気にもならない。とりあえず、宿で自転車を借りて、近所を回ってみることにした。
日本百名山を制覇しようなんて、これっぽっちも考えてはいないが、気になる山はいくつかある。
最北って言葉に弱いのだが、北海道利尻島にある利尻山もその一つ。
どこにでもある、さもない花だと思っていた。
夏の始まりになると、近所の草っ原に咲いていた。
地面からすっくと伸びた姿は凛々しいが、垢抜けない桃色が田舎くさいと思っていた。
いつの頃からか、この花を見かけると、妙な懐かしさを覚えるようになっていた。